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BMP6195.gif    出産後の甲状腺機能異常

                       (文責:宮下和也)

  意外に知られていないことですが、出産後の女性は、約20人に1人という高い頻度で、
甲状腺の機能異常が現れます。産後1〜3ヵ月頃から、甲状腺が腫大し、甲状腺ホルモン
の過剰あるいは不足が生じます。

  主な原因は、橋本病です。橋本病は、自己免疫反応(*注)による、慢性甲状腺炎です。
*注 自己を守るために、病原体や異物を攻撃し排除する機能が免疫システムです。その
免疫システムに異常が生じて、自分の体を攻撃してしまうのが、自己免疫反応です。

  妊娠しますと、異物の一種とも言える胎児が免疫反応によって排除されることがない
ように、母体の免疫反応は抑制されます。そのため、妊娠中は、橋本病の自己免疫反応も
抑えられ、炎症が落ち着きます。

  出産しますと、その免疫抑制がはずれ、リバウンドで橋本病の炎症が激しくなります。
その結果、甲状腺細胞がたくさん破壊され、甲状腺内にあった甲状腺ホルモンが血液中に
大量に漏れ出し、甲状腺ホルモンの過剰状態になります。暑がり・発汗過多・体重減少・
食欲亢進・いらいら・不眠・振戦・頻脈・心悸亢進などの症状が現れます。

  炎症によって甲状腺は破壊され、甲状腺ホルモンの産生は低下してしまいますので、
数ヵ月後には、甲状腺ホルモンの不足に陥ります。無気力・易疲労性・寒がり・皮膚乾燥・
脱毛・浮腫・嗄声・便秘・動悸などの症状が現れます。

  その後、数ヶ月で正常化する場合と、甲状腺機能低下症が永続する場合があります。

出産後は育児の疲労などが重なり種々の症状が見られますので、"産後の肥立ちが悪い"とか
"育児ノイローゼ"などと誤解されている場合も少なくありません。産後に体調不良がある
場合は、甲状腺機能検査を受けることが望ましいと考えられます。