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BMP6195.gif      亜急性甲状腺炎

                           (文責:宮下和也)

  Eさんは、のどの激しい痛みを訴えて、来院しました。歯や耳の方まで痛く、歯科や耳鼻咽喉科を
受診しましたが、特に異常はないと言われたとのことです。微熱があり、脈が速く、皮膚は湿っていて、
手の震えがあります。のど仏の少し下の左側が硬く腫れていて、触ると飛び上がるほど痛がります。

  超音波検査では、甲状腺の左葉が腫れ、境界不明瞭な低エコー領域が広がっていて、前頸部の筋群と
癒着しています。白血球数は正常、炎症反応を示すCRPもほぼ正常ですが、赤血球沈降速度は著しく促進し、
甲状腺ホルモンの高値を認めました。

  亜急性甲状腺炎です。

  経口ステロイド薬の投与を開始し、劇的に症状が改善しました。しかし、4週間後の超音波検査では、
反対側(右側)に低エコー領域が広がっており、その部位での亜急性甲状腺炎の再燃が予測されたため、
ステロイドを継続しました。改善を確認しながら、慎重にステロイドを漸減し、3ヵ月後には治癒しました。

  亜急性甲状腺炎は、ウイルス感染などを契機として発症する、激烈な甲状腺の炎症です。甲状腺の破壊
によって、甲状腺の中に蓄えられていた甲状腺ホルモンが血液中に漏れ出るため、一過性に甲状腺ホルモン
の過剰状態(甲状腺中毒症)を示します。甲状腺の炎症部位は、激しい痛みが起こり、しばしば、歯や耳の
痛みと勘違いされることがあります。

  甲状腺癌や化膿性甲状腺炎などとの鑑別が重要であり、専門医の診察が必要です。

  治療には、炎症の程度に応じて、非ステロイド系抗炎症薬またはステロイド薬の内服薬を用いられます。
細菌感染症ではありませんので、抗生剤は無効です。しばしば再燃がありますので、治療薬は、慎重に漸減
することが重要です。

  甲状腺機能低下症を続発することも少なくありませんので、治癒後も経過観察が大切です。