Wakeikai Medical Corporation Miyashita Clinic (WMC) |
2005年2月24日(木)、痙攣や意識障害を伴わずに睡眠中に突然死する「インフルエンザ脳症の新しいタイプ」についての、マスコミ報道がありました。
新聞報道では、
「死亡した6人のうち4人は、抗ウイルス薬オセルタミビル(商品名タミフル)を服用、その3―7時間後に死亡」
「タミフルは、・・・動物実験で大量投与を受けた幼若ラットが死亡、脳から高濃度の薬剤成分が検出・・・1歳未満には投薬しないよう警告していた。」
と記載されており、タミフルが新型脳症の原因であると誤解を与えかねない表現がされています。
もしも、たとえば、死亡例について病理解剖が行われて脳内から高濃度のタミフルが検出されたのであれば、因果関係が証明されたと言えると考えられますが、現時点では、そのような報告は全くありません。
現時点では、情報が乏しく、100%否定することはできませんが、タミフルが新型脳症の原因とする根拠は全くありません。
1昨シーズンから流行しているA香港の福建タイプなど、ウイルス側の問題なのかもしれませんが、詳しい情報が明らかでないため、明確なことは言えません。
そもそも、インフルエンザ脳症の頻度は非常に稀であり、発症件数も非常に少ないため、因果関係があるかどうかを明らかにすることは、疫学調査のみでは難しい面があるのです。
むしろ、タミフルの投与は、インフルエンザの一般的な合併症を減らすことが報告されていますので、脳症についても、減らしている可能性があるかもしれないのですが、インフルエンザ脳症の発症件数が非常に少ないため、立証することは容易ではないのです。
今回のことから言えるのは、「タミフルを投与しても、インフルエンザ脳症の発症を食い止めることは、完全にはできない」、ということのみです。
言い方を変えますと、私達が従来から指摘している通り、インフルエンザに罹ってから抗インフルエンザウイルス薬で治療すれば良い、などとという考え方は、全く誤った考え方である、と言えるでしょう。
インフルエンザワクチンが、インフルエンザ脳症を防ぐことができるかどうかは、現在のところ実証されてはいません。
しかし、インフルエンザに罹患しない限り、インフルエンザ脳症を発症することはあり得ません。
したがって、インフルエンザワクチンによってインフルエンザを予防することが、インフルエンザ脳症の予防の点からも、極めて重要である、と言えるでしょう。