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(文責:宮下和也)
Q かぜで熱が出て受診しましたが、抗生剤が処方されませんでした。
大丈夫でしょうか? (3歳児の母)
A かぜの大半は、ウイルスによる普通感冒ですので、抗生剤は無効です。
細菌の1次感染症や感冒後の2次感染症などには抗生剤が使用されますが、
安易な投与は、体内に同居する正常細菌叢を乱してしまい、かえって病気
をこじらせる可能性があります。たとえば、下痢・偽膜性腸炎やカンジダ
感染症などを生じることがあります。
原因菌により、使用すべき抗生剤の種類や投与期間が異なりますが、
不用意な投与は、診断・治療を困難にしてしまう場合があります。
たとえば、A群溶連菌感染症では、リウマチ熱や急性糸球体腎炎の合併を
防ぐため、的確な診断・治療(通常はペニシリン系抗生剤を10日間投与)が
必要です。原因を確かめずに抗生剤を投与しても、一旦は症状が軽快しますが、
治療が不十分なため、合併症を生じてしまう例があります。
このような場合、後から細菌検査を行っても、原因菌の特定は困難です。
さらに、抗生剤の乱用は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 MRSA や
ペニシリン耐性肺炎球菌 PRSP など、種々の薬剤耐性菌(抗生剤が効か
ない菌)の蔓延を招きます。
したがって、抗生剤は、投与開始に先立って細菌検査を行ない、必要最小限
の期間、適正に使用することが非常に重要なのです。