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Wakeikai Medical Corporation Miyashita Clinic (WMC) |
(1) A群溶連菌感染症(PDFファイル)
『すこやかファミリー』誌 2004年10月号 P.28-P.29 [感染症ノート]
――単なる「のどかぜ」じゃない 溶連菌(ようれんきん)感染症――
(2) A群溶連菌感染症Q&A
『ミキハウス・ラブ』誌 2002年3月号に掲載。(文責:宮下満恵)
Q1 溶連菌って聞き慣れない名前ですが、いったい、どういう菌なのでしょう?
A1 溶連菌は、溶血性連鎖球菌の略称です。
連鎖球菌は、鎖状に増殖する球形の細菌で、血液寒天培地での溶血パターンによってα(部分溶血し緑色)・β(完全溶血し無色)・γ(非溶血で赤色)に分類され、血清学的にA〜H、K〜T群に分類されます。その中のA群β溶血性連鎖球菌(別名:化膿連鎖球菌S. pyogenes)が一般に溶連菌と呼ばれています。
A群β溶血性連鎖球菌(以後、溶連菌と略す)は、感染症を引き起こす頻度が最も高い細菌のひとつで、感染力が非常に強く、しばしば流行を起こします。また抗原性(M蛋白)が異なる80以上もの種類があるため、くり返しかかることがあります。
Q2 近くの小学校で、溶連菌感染症が流行しているそうです。感染する経路や症状、また、病院での診断法を教えて。
A2 一般に溶連菌感染症と呼ばれるのは、溶連菌性咽頭炎です。
主に、鼻汁やタンなどの飛沫感染で広がります。また、溶連菌は、食品中でも増殖し得るため、まれには、溶連菌に汚染された食品による集団感染も見られます。
なお、溶連菌は膿痂疹(とびひ)などの皮膚感染症の原因にもなりますが、この場合は、接触感染で広がります。
いずれも、小児特有の病気ではなく、成人でも見られる病気です。
典型的な溶連菌性咽頭炎は、1〜7日の潜伏期間の後、急激な咽頭(のど)の痛みや高熱で始まり、しばしば嘔吐も伴います。咽頭は真っ赤にはれ、扁桃腺が化膿し、頸部(くび)のリンパ節がはれて痛みます。時には、猩紅熱(コラム参照)の症状を伴います。しかし、かぜと区別が難しい軽症例も少なくありません(特に3歳未満)。
確定診断には、治療開始の前に、細菌培養検査や迅速試験(溶連菌の有無が早くわかる検査)を行なうことが重要です。
Q3 重い合併症が起こることがあると聞いたのですが、ホント?
A3 合併症には、化膿性合併症(中耳炎や副鼻腔炎など)と非化膿性合併症があります。
特に注意が必要なのは、非化膿性合併症です。これは、溶連菌感染の1〜4週後に、溶連菌に対する抗体が自分の腎臓や心臓などに結合することが原因で起こる病気です。急性糸球体腎炎(血尿・蛋白尿・浮腫・乏尿・高血圧など)とリウマチ熱(発熱・関節炎・心炎・小舞踏病・輪状紅斑・皮下結節など)の2種類があり、どちらか一方が生じます。
正確な診断と適切な治療によって、これらの重い合併症を予防することが最も重要なのです。
Q4 治療はどのように行うの? また、家庭で気をつけるべきことを教えて!
A4 発熱・のどの腫れなどの症状がある間は、安静にしましょう。
治療は、通常、ペニシリン系の抗生剤を約10日間服用します(ペニシリンアレルギーがあるなどの場合は、他の種類の抗生剤を用います)。
重要なのは、症状が消えても、抗生剤を確実に10日間服用し、しっかり除菌することです。
さらに、合併症のチェックのため、感染症発症後1〜4週の期間、週に1回、尿検査を含めた診察を受けてください。
また、家族などの接触が濃厚な人は、疑わしい症状があれば(ただし、以前にリウマチ熱や急性糸球体腎炎をわずらったことがある人は、無症状でも)、細菌検査を受けて、同時に除菌することが大切です。
(3) コラム 溶連菌感染症と猩紅熱は同じ病気なの?
猩紅熱は、溶連菌感染症のひとつで、発赤毒素に対する免疫をもたない場合に生じます。
A群溶連菌性咽頭炎の症状に加えて、以下の症状が現われます。
小さな赤い発疹が、わきの下や太ももなどから始まり、全身をびっしりとおおいます。ただし、口の周囲は、発疹が出現せず青白く見えます(口囲蒼白)。舌は、苺のように赤くブツブツします(苺舌)。回復期に、皮膚がむけます(膜様落屑)。
かつて、猩紅熱は、伝染病棟に隔離入院が必要な、法定伝染病でした。現在は、適切な治療により、早期に治癒が可能となったため、一般の感染症として扱われています。